2009 Fiscal Year Annual Research Report
滞在者の環境適応を考慮した温熱環境調整手法に関する研究
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20760395
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中野 淳太 Tokai University, 工学部, 講師 (30350482)
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Keywords | 熱的快適性 / 温熱環境 / 環境適応 / 滞在状況 / 着衣調節 / 環境計画 / パッシブ / 実測調査 |
Research Abstract |
本年度は、温熱環境適応の特性について文献調査を行った。人体と環境との熱授受に作用する温熱環境6要素が同じであっても、その環境の文脈によって人間の受け止め方が変わり、その結果、行動的適応と心理的適応に影響を及ぼすことが示唆された。空間の用途、気候、文化的背景、滞在者の着衣状態等が環境の文脈を形作っており、その環境に対する期待や行動的適応に対する備えが変わると考えられる。これまでの環境適応の研究成果を、環境の文脈の違いにより生じた現象として整理し直すことで、環境適応のメカニズムがより整理されると考えられる。 また、環境の文脈に違いに着目した2つの実測調査を行った。まずは空気温度および日射環境の違いが環境適応行動に与える影響に関する調査を行った。日射環境以外の文脈要素をそろえるため、同地域に存在する大学キャンパスを調査地として選定した。K大学は秋から冬にかけて広場の日照率が上昇するのに対し、T大学ではいずれの季節も日照率が少なかった。滞在環境の日平均空気温度1℃の低下に対し、両大学の1日の延べ滞在人数が共に35人の減少と一致した。また、空気温度が低いほど日向にいる滞在者の割合が高くなることが確認された。滞在時間が長い傾向にあるT大学の冬季の日当たりを改善することで,環境適応行動の自由度を高め、滞在者数の減少を抑えられる可能性が示された。 また、大学教室における学生の行動的適応特性を調査した。学生が寒い時に行う適応行動は、姿勢の変化によるものが多く、暑くなると着衣による行動が多くなることがわかった。学生が教室内温熱環境に適応している状態において、23℃<室温<26℃で適温・快適温度・受容温度の申告が20%以内になった。この範囲を下回る温度に関して学生は比較的寛容であったが、上回る場合には激しい否定的反応が見られた。
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