2009 Fiscal Year Annual Research Report
建築の適切な機能維持を目的とした新たなビルディング・フォレンジクス領域の展開
Project/Area Number |
20760396
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
増田 幸宏 Waseda University, 高等研究所, 准教授 (10398935)
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Keywords | Building Continuity / 建築の適切な機能維持 / Business Continuity Plan / 事業継続 / ビルディング・フォレンジクス / Building Forensics / Building Security Recorder / 都市環境基盤 |
Research Abstract |
代表的な成果を、下記の審査付き論文として発表をさせて頂いた。 特徴ある研究として「広域災害時における中央監視システムの警報情報に関する調査研究」においては、広域災害時等の非常時における建築状態を適切に把握するための情報の取得と管理に関するビルディング・フォレンジクス(Building Forensics)領域の基礎的研究として、阪神・淡路大震災時における中央監視システムの警報情報に関する調査を行った。その結果、広域災害時等の甚大な災害時において、建物内で各種の異常状態が発生するような状況においては同時期に多数の警報が発報され、対応にあたる者の混乱が危惧される。多量の警報が発生している中でも的確に状況を把握するために、警報情報の内容について対応の優先順位付けを行う必要がある。また、発災直後に多量の情報が発報され、中央監視システムに同時期に情報が流れ込むような状況における情報の欠落に関する問題と、警報対象事象の実際の発生時刻と警報情報へのタイムスタンプの不一致の問題について指摘した。単純に現行の中央監視システムのログファイルを検証すれば、時系列に沿って非常時における発生事象の再現に必要十分な情報が得られるわけではないことを指摘した。また「「大都市の自然災害危険度指数」に関する考察と展望」においては、海外から見た日本の大都市の評価事例として、「A natural hazard index for megacities(大都市の自然災害危険度指数)」の計算モデルとプロセスを検証し、指数を適切に参照するための留意点を明らかにするとともに、指数値を実際のリスクの値に近づけるための計算手法について検討・提案を行った。日本の災害保険制度の現状とその根拠について問題提起を行い、新たな災害保険制度構築に向けての展望を示す論文である。
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