2008 Fiscal Year Annual Research Report
小学校施設における空間需要からみた新教育空間の創出に関する研究
Project/Area Number |
20760401
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 麻衣子 Tokyo Institute of Technology, 教育環境創造研究センター, 助教 (90361790)
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Keywords | 小学校施設 / 教育活動 / 空間 / 機能 / 需要 |
Research Abstract |
本研究では、小学校の教育現場が必要としている教育内容を、その実現に必要となる場に置き換えた[空間需要]として捉え、教育サイドの[空間需要]を明らかにし、建築サイドからの[空間供給]の課題を探ることにより、新たな教育空間の必要性、及び次世代の学校施設の整備内容を明らかにすることを目的としている。 初年度は各都道府県別に無作為抽出した公立小学校325校を調査対象としたアンケート結果をもとに、児童・保護者・地域住民、そして教員の就業環境としての学校施設という視点も含め、総合的な機能整備のあり方と、それに伴って新たに必要とされる空間を見出した。またこの研究結果の一つとして、教員の場の貧弱さが明白となり、整備要望が高いにも関わらず、実際には整備が後回しにされる傾向にあることが捉えられた。よって、特に教員の立場からみた学校施設像にクローズアップし、小学校施設における教員の就業環境としての空間整備課題も併せて調査・分析を試みた。 研究結果は、本研究で設定した今後の学校施設に必要と想定される45機能をもとに、機能要求の実態を明らかにした。具体的には、児童のための場の確保が最重要視されていることが示され、さらに学校が自由に使い方を考えられる空間(以下、自由空間)を有している施設の方が多機能化していることから、既存空間以上に必要とされている空間がある、すなわち、そこに新たな空間供給の必要性が見出された。 また特に教員のための空間については、行為内容に即して教員自ら空間を確保している工夫と難しさが捉えられ、教員空間計画の基礎を見直す必要があることを明らかにした。教員の立場からみた学校施設として、目的に沿った空間選択を促すためには、教員個人の専用的空間と多目的空間、教員集団利用と歓談のための空間、そして地域との相談の場となる空間をそれぞれ独立的に確保することが重要であること等を示した。
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