2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760404
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
是澤 紀子 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (40431978)
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Keywords | 景観 / 保全 / 環境 / 断層 / 植生 / 神社 / 歴史的建造物 / 伝統的建造物群保存地区 |
Research Abstract |
本研究は、日本の伝統的な建造物とその周辺環境に対して、それらの一体的な景観保全を行うために、システムの整備およびその現状の評価や整備後の評価を行える環境指標を導出することを目的とするものである。 平成20年度~21年度には、資料収集と現地調査対象の比較分析と、現地調査を伴う資料の収集と分析を行った。21年度以降は、引き続き、寺社や伝統的集落等とその周辺環境が一体的に保存されている地区の代表的な類型について、気候区分別に概要の資料を収集し整理を行い、資料の収集を継続した。21年度から22年度には、上記の結果をもとに、断層と神社の立地相関、集落の領域との関係、また植生による地域の特性について分析および検討を行った。 断層と神社の立地相関を探るにあたり、断層がしばしば地震を引き起こすことに留意し、土地の性質から神社の景観について新たな考察を行った。また過去に起きた地震に対する当時の人々の認識と、神社の立地との関係に見られる特質に着目し、当時の人々の知識の枠組みについて見当を試みた結果、近代以前の地震に対するイメージが抽象的なものにとどまらず具体的な線上のつながりのイメージを喚起させるものとしても理解されていたことを示した。さらに地震認識と神社の立地との関係をみる上で、断層付近の「軟弱地盤」に立地する神社の存在も無視できないことを指摘した。 なお、全国の重要伝統的建造物群保存地区を対象として、気候条件や活断層などの地理的条件から自然環境条件を整理し、代表的な地区に関しては現地調査を行い、各地区の環境指標を取りまとめた。これらは、従来の保存対策調査報告書にはあまり取り上げられていないものであり、今後の居住環境形成とその保全活用に有用な基礎的知見を得られた。
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