2009 Fiscal Year Annual Research Report
町並み保全に配慮した歴史的建築物群の火災安全計画に関する研究
Project/Area Number |
20760406
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋本 圭佑 Kyoto University, 次世代開拓研究ユニット, 助教 (90436527)
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Keywords | 歴史的町並み / 火災安全 / 都市防災 / 延焼モデル / 京町家 |
Research Abstract |
木造建物が密集する市街地では,狭隘な道路の拡幅や老朽化した建物の建て替えによって延焼火災に対する安全性を確保することが多い.しかし,こうした対策を同じく密集市街地である歴史的町並みに適用すれば,市街地構造の改変は避けられず,町並みが持つ文化的価値が損なわれてしまう可能性が高い.そこで本研究では,歴史的町並みと調和した防火対策,ならびにその有効性を評価するための手法を開発することを目的としている.ここでは,通りに面した町並みに手を加えることなく市街地の火災安全性能を改善するため,隣接敷地との境界にある戸境壁と,建物内部の間仕切り壁に防火補強を加える手法について検討を加えることとした.まず,こうした対策の有効性を検証するため,これまでに開発を進めてきた市街地火災延焼モデルに改良を加えることで,建物部材レベルの対策の有効性を定量的に検証できるようにした.また,防災まちづくりの実務での利用を念頭に,建物条件の設定や延焼シミュレーション結果の分析を行うためのユーザーインタフェースを備えた市街地火災安全性能評価システムを構築した.さらに,同評価システムを利用することで,代表的な歴史的市街地である京都市東山区を対象としたケーススタディを行った.戸境壁の防火補強の結果,市街地における延焼は遅延することが出来ることが示されたが,完全には延焼を食い止めることは出来ない例が見られた.これは,戸境壁や間仕切り壁の防火補強では市街地構造そのものには改変が加えられていないためで,こうした対策の効果を増すには,消火活動との併用が有効と考えられる.
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Research Products
(4 results)