2009 Fiscal Year Annual Research Report
新たな農地利用を通じた都市近郊農地の保全に関する研究
Project/Area Number |
20760410
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴田 祐 Osaka University, 工学研究科, 助教 (90444562)
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Keywords | 都市近郊 / 農地 / 農家 / 農地利用 / 市街化区域内農地 / 都市農業 / GIS |
Research Abstract |
本研究は、開発や担い手不在により消失しつつある都市近郊農地を対象として、都市住民等による新たな農地利用を通じた都市近郊農地の保全の可能性を明らかにすることを目的としている。前年度調査の成果を踏まえ、農地所有者と都市住民等をマッチングするコーディネータへのヒアリング調査を行った。貸し農園を事例として、都道府県レベルと民間企業による事例のヒアリングを実施した。県へのヒアリングの結果、県、JAなどを含めた協議会方式でのマッチングシステムの運用が効果的であることが明らとなったが、マッチングの実績から費用対効果の面で課題が大きいことが明らかとなった。また、民間の株式会社によるマッチングへのヒアリングでは、企業としての収益性の観点から、農地の利用料金を高く設定せざるを得ないが、管理代行や指導員による栽培指導をセットにすることで他の農園との差別化を図ることで、実績を伸ばしていることが明らかとなった。これらのことから、対象とする利用者や農地の利用方法など、行政と民間が担う役割を調整していく必要性が明らかとなった。さらに、市町村レベルの貸し農園の運用事例へのヒアリングから、現行法制度のもとでは、農家以外の主体による農地利用は借地によらざるを得ず、相続発生時に相続税の納税猶予が受けられないため、貸し農園を廃止する事例が多く、継続性の担保が課題であることが明らかとなった。この点は、コーディネータの有無やその形態、利用主体によらず共通する課題であり、農地の無償借地契約と固定資産税の非課税措置を連動させて運用する仕組みの有効性を明らかにした。さらに、都市近郊農地にかかる税制の見直しの必要性の他、都市近郊農地の位置づけの見直しの必要性とその方向性について明らかにした。
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Research Products
(1 results)