2009 Fiscal Year Annual Research Report
医療制度改革に伴う療養病床から個室ユニット型介護施設への転換に関する研究
Project/Area Number |
20760413
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鈴木 健二 Kagoshima University, 理工学研究科(工学系), 准教授 (30363609)
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Keywords | 療養病床 / 増改築 / 個室ユニット / 多床室 |
Research Abstract |
本研究では、医療制度改革に伴って、個室ユニット型施設への転換が先駆的に行われた療養病床の事例、A病院の増改築過程について調査分析を行い、以下の知見を得た。 まず、A病院における多床室型施設から個室ユニット型施設への転換は、老人病院時代から約17年の年月をかけて達成されていた。当初は療養型病床群への移行など、施設基準を満たすための改修が中心であったが、1997年からは食堂の整備やスタッフステーションの分散設置などの小規模な改善、2002年からは増築を伴う大規模な改善により制度化に先駆けて個室化とユニットケアを導入する等、増改築の内容が高齢者や職員にとっての療養環境の向上を目的としたものへと徐々に変化していた。こうした改修内容の変化には、高齢者の寝たきりを防止するために職員の固定配置・担当範囲の分散化といったソフト面の改善が1997年から始まった事や、2001年前後に外山教授が計画に関わった事などが大きく影響していると考えられる。 次に個室ユニット型施設への転換に向けた改修は2002年頃から徐々に行われているが、多床室主体の既存病棟では病室の個室化がまず実施され、その後、食堂や浴室等の共用空間が整備される、という2つの段階を経て個室ユニット化が実現されていた。病室の個室化は既存建物の改築という形でなされたのに対して、共用空間の整備は主に既存建物への増築という形で行われる等、改築と増築が巧みに使い分けられていた。こうした増改築が可能であった背景には、A病院が建物に鉄骨造を採用していたために間仕切りの変更が比較的容易であった事や、分棟形式の既存病棟の各階面積が個室ユニット型施設の1ユニット平均面積と同程度であった事、単独処理浄化槽3基の撤去に伴って病院敷地内に増築の余地が生じた事等が要因として考えられる。
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Research Products
(4 results)