2008 Fiscal Year Annual Research Report
東京圏郊外における震災と子どもの事故に対する脆弱性分析と社会学習プログラムの開発
Project/Area Number |
20760416
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
市古 太郎 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 助教 (10318355)
|
Keywords | 安心まちづくり / 社会学習プログラム / 減災 / 郊外住宅地 / 学区域安全点検 |
Research Abstract |
研究初年度となる平成20年度は, 八王子市諏訪町で実施された地域協働復興訓練の運営支援を通して, 郊外地域におけるバルネラビリティ生成の経緯をデータベース化する方法を開発し, 訓練に適用した, 具体的には1958年/1968年/1978年の1/2500地形図および2002年現況GISデータを用いて, 宅地化の進展, 空地の減少過程をトレースし, これに現地調査と訓練参加者からの指摘を踏まえて「バルネラビリティマップ」を作成した. 震災以外のハザードをどう組み込んでいくか, 本年度は防犯機能重視型戸建て住宅開発事例である岐阜市のマザービレッジ, 繁華街防犯活動の事例として厚木市中心市街地の事例調査を実施し, これまでに開発してきた「震災復興まちづくり模擬訓練」の手法に不足している点はなにか, 検討を行った. ところで震災時, 小中学校は宿泊避難所として供用されるが, 学校教育の立場からはできるだけ早い学校再開に動くことも必要となる. 被災者の避難生活支援と学校再開にあたってのプログラムや課題はどこにあるか, 2007年7月に発生した中越沖地震時の避難所運営と閉所までの実態について, 運営にあたった地域組織および柏崎市役所を対象にインタビュー調査を実施した. 以上の調査から, 東京圏郊外において, 自然災害・犯罪の両者をカバーする社会的対応策において現在欠けている視点として「ケアーの思想」があると考えられることがわかった.すなわち防犯への取組みでは「犯罪が起こってしまってからでは遅い」として事前対策に注力するが, 脆弱性調査において「ひやっとした」体験こそ活かすべき事象でありつつも, 体験がトラウマとなっている子どもへの心理的なケアーを併せた調査方法が必要である. よって「発災後の対応行動」に重点が置かれる自然災害防災の方法論, 言い換えれば「減災」ならぬ「減犯」の方法論構築の必要性が高いものと考えるに至った.
|
Research Products
(5 results)