Research Abstract |
本年度は論文化を図りつつ,2つの実践を通して,子どもと震災および事故に関する研究を進めた. 第1の実践として,平成17年度から八王子市と協力して進めてきた「地域協働復興訓練」を7月と10月に子安町地区で実施し,これは本研究計画にある「郊外都市の空間リスクデータベース」にも関連して,八王子市における「中心市街地型」モデルとして訓練参加者から得られたデータをデータベースに組み込み,八王子市全体のリスクデータベースとしての充実を図った.これまでに,宅地造成団地型,スプロール市街地型,中山間地型として訓練と成果を分析してきており,今年度の「中心市街地型」を加えて,調査方法論と合わせて総合的な分析を進めた. 第2の実践として,練馬区と共同で平成22年11月に「バンブシェルターをつくろう」というイベントを貫井がらくた公園で実施した.これは,大地震時の地域における避難生活の「場」として,情報拠点や物資配布拠点としての機能を想定した竹製のシェルターを地域の方と制作し,体験してみよう,というイベントで.設計プロセスを通して,竹を軸材として使うだけでなく,膜骨材として利用できること,6タイプのシェルターを用意し,イベントを通して,地域の方と,制作性,機能性,耐久性といった点について知見を得ることができた.また親子連れも多く参加し,学校避難所が不便で自宅避難生活を送る際,公的避難所のブランチとして位置づける可能性と課題についてインタビューを通して考察した. 研究成果とりまとめとして,葛飾区における荒川洪水ハザードマップ認知と広域避難準備を子どもをもつ世帯など世帯属性別に考察した論文を日本都市計画学会にて,また平成19年中越沖地震における避難所自主運営に地域組織が果たした役割について論文化(地域安全学会)し,子をもつ世帯がどう関与できたかについて考察としてとりまとめた.
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