2009 Fiscal Year Annual Research Report
古代地中海世界のヘレニズム期の磨崖墓の地域性と時代性に関する研究
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20760425
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 明純 Muroran Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 助教 (00344549)
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Keywords | 磨崖墓 / 墓 / 古代ギリシア建築 / トルコ / ヘレニズム / 地中海世 / 西洋建築史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代地中海世界のヘレニズム期の墓の体系化に向けて、建築形態、建築技術、造型理念の観点から、磨崖墓の地域性や時代性を明らかにすることにある。これに向けて、平成21年度は、研究対象をトルコの磨崖墓とし、「建築形態の比較」、「建築技術の比較」、「設計法の検討」を行った。 建築形態の比較研究では、ヘレニズムの家型墓調査報告書等の資料の分析、及び現地での視察を通して、磨崖墓の形態的特徴を整理し、各時代、各地域について比較検討を行った。これにより、トルコの磨崖墓には、ファサードのみを持つ磨崖墓が多く、神殿のファサードを模した磨崖墓が多いこと等がわかった。 建築技術の比較研究では、ヘレニズム期の磨崖墓調査報告書、及び現地での視察を通して、建築遺構に残る痕跡や材料などから、磨崖墓の施工技術を推定した。この結果、トルコの磨崖墓では墓の掘り出し方や墓室の彫り方に共通した特徴を見いだせることや、磨崖墓においては施工方法と建築形態の間に密接な関係がある可能性が高いこと等を把握した。 設計法の検討では、神殿等の他種の地中海建築の設計法を参考に、ヘレニズム期の磨崖墓の設計法の解明の可否と、可能である場合の方向性について検討した。その結果、磨崖墓においてもオーダーを採用した墓が多く、その設計法の解析は、磨崖墓というくくりを越えて、古代ギリシア建築全体にとって有用な結果が得られる可能性があることが把握された。
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