2010 Fiscal Year Annual Research Report
古代地中海世界のヘレニズム期の磨崖墓の地域性と時代性に関する研究
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20760425
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 明純 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00344549)
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Keywords | 磨崖墓 / 墓 / 古代ギリシア建築 / エジプト / ヘレニズム / 地中海世界 / 西洋建築史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代地中海世界のヘレニズム期の墓の体系化に向けて、建築形態、建築技術、造型理念の観点から、磨崖墓の地域性や時代性を明らかにすることにある。これに向けて、平成22年度は、研究対象をエジプトの磨崖墓とし、「建築形態の比較」、「建築技術の比較」、「設計法の検討」を行った。 建築形態の比較研究では、ヘレニズムの磨崖墓調査報告書等の資料の分析、及び現地での視察を通して、磨崖墓の形態的特徴を整理し、各時代、各地域について比較検討を行った。これにより、エジプトの磨崖墓では、他地域の磨崖墓とは大きく異なり、殆どのものが地下に中庭とその周囲に配置された墓室を持つ形式を採用していることや、各墓室の軸線が一致しないように室配置が決定されていること等がわかった。 建築技術の比較研究では、ヘレニズム期の磨崖墓調査報告書、及び現地での視察を通して、建築遺構に残る痕跡や材料などから、磨崖墓の施工技術を推定した。この結果、エジプトの磨崖墓では、中庭の入り隅部分の施工の可否を考慮して、ドリス式の様式が多用されている可能性が高いこと等を把握した。 設計法の検討では、神殿等の他種の地中海建築の設計法を参考に、エジプトの磨崖墓の設計法の解明の可否について検討した。その結果、エジプトの磨崖墓においてもオーダーを採用した墓が多く、古代ギリシア建築の多種の建築物を参考に設計法の解析が可能だと考えられることが把握された。しかし、エジプトの磨崖墓は残存状況が悪く、詳細な設計法の解析は難しいものと思われる。
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