2009 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦期の戦災建物保護に関する建築・都市・文化史的研究
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20760431
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
頴原 澄子 Kyushu Sangyo University, 工学部, 講師 (40468814)
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Keywords | 歴史的建造物 / 保存 / 修復 / 廃墟 / 戦災 / シティ / オープンスペース / 第二次世界大戦 |
Research Abstract |
本研究の目的は、歴史的建造物を残す意味、とりわけ、古くなった建物の中に積み重なった年月の記憶を残すことの意義を検証するため、第二次世界大戦期の戦災建物の扱いに着目し、廃墟を廃墟として保存した事例においては、なぜ、そしてどのようにその意義が認識され、事業が推進された過程を明らかにすることである。 この研究を遂行するにあたり、研究対象は主に英国を選定した。この理由は、英国においては、すでに19世紀に歴史的建造物保存修復に関する理論が美術評論家のジョン・ラスキンやウィリアム・モリスらによって構築されていたが、20世紀、「戦災」という「人災」に直面したとき、従前の理論がどのように解釈されたかを見極めるためである。本研究は、20世紀英国を研究対象とすることで、歴史的建造物保存修復の理論と実践の相克の様相を明らかにすることを目的とする。 このため、年度の前半は資料収集をすすめ、8月には日本建築学会大会にて「第二次世界大戦後のコヴェントリー市中心部における復興都市計画:ギブソン案の変容について」を発表、10月には『建築史攷』(中央公論美術出版)の中で「第二次世界大戦期の英国における戦災建物の記録活動と廃墟保護の動きについて」を、また、『建築雑誌』にて19世紀から20世紀の英国における保存理念の変遷についての論考を発表した。2月から3月にかけては、イギリスでロンドンのシティにおける戦災を受けた教会についての現地調査を行った。3月には「九州産業大学工学会誌」にて保存修復に関わる言葉の変遷についての論考を発表した。また、ロンドンのシティの教会については、2010年4月『建築史学』にて論考を発表する予定(採用決定)である。
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[Book] 建築史攷2009
Author(s)
鈴木博之先生献呈論文集刊行会(編集)
Total Pages
529-548
Publisher
中央公論美術出版
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