2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代期朝鮮半島における名所型住宅地、別荘地の開発実態とその生活
Project/Area Number |
20760432
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
砂本 文彦 Hiroshima International University, 工学部, 准教授 (70299379)
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Keywords | 朝鮮半島 / 郊外住宅地 / 京城 / ソウル / 明水台 / 1930年代 |
Research Abstract |
本研究は、朝鮮半島における「植民地下の余暇性を伴う住空間の形成」について、名所型住宅地、別荘地の開発実態とその生活像から調査研究し、近代建築史・都市史に新しい一面を示そうとするものである。平成21年度も引き続きソウル市にて現地調査、文献調査を実施するとともに、本年度は資料整理を進めることで、審査論文の発表と書籍出版を行った。 審査論文では、京城の郊外住宅地形成の全体を概説しながら、明水台という漢江の南に位置する郊外住宅地の、およそ10年にわたる住宅地形成を跡付けした。明水台住宅地の形成にみられる変化が、京城の郊外居住に求められた住宅像の変化と連関をもっていること、また明水台住宅地開発の想定する居住者像の変化に応じて、風光明媚な日本人向けの住宅地であった時期、朝鮮人学童らを収容する学校の誘致を行った学園都市形成期、資材難にともなう住宅難と人口急増によりスラム化していく時期にわかれていたことを明らかにした。それぞれの時期について、開発者である木下栄の言説や明水台町会の組織・民族構成から考察を行った。なお、本論文は、韓国・ソウルにあるソウル学研究所による出版で、論文は韓国語と日本語で表記している。 書籍は、科研テーマに限らずソウルの都市・建築の歴史を明らかにしたものだが、都市形成の説明において。上記のような郊外住宅地開発について概説することで、京城の都市拡大の形成要因を住宅地形成の側面から明らかにした。
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