2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイアー主導のバウハウス建築教育における心理学、生物学、社会学、統一科学の空間化
Project/Area Number |
20760433
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
冨田 英夫 Kure National College of Technology, 建築学分野, 准教授 (80353316)
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Keywords | ハンネス・マイアー / バウハウス / 生物学 / 社会学 / 心理学 / 統一科学 / オットー・ノイラート / ルドルフ・カルナップ |
Research Abstract |
本年度は、1.マイアーにおける諸科学と建築理論・空間の関係の分析、2.マイアー指導の学生作品における諸科学の建築空間化の過程の分析、3.研究成果の整理を行った。 1に関する分析の結果、以下の内容が明らかになった。まず社会学についてはダイアグラムを用いた分析とそれを基にする空間の類型化という手法によって建築空間化された。次に心理学的については、(1)建築の社会的組織を建築形態から把握させる空間と、(2)ランドスケープ(環境)とその眺望により建築内部にいる人々を精神的にリラックスさせる空間として建築空間化された。そして生物学については、狭義の生物学においては日照時間のダイアグラムの計算や必要換気量の計算を通して建築空間化され、以上の3分野の諸科学は広義の意味での生物学の建築空間化としてまとめられた。最後に統一科学は以上に述べたような科学的認識により世界を把握する概念構成そのものとして建築空間化された。 2に関しては、CG再表現による分析をマイアー指導の学生作品「社会主義国家の工場労働者用共同住宅」案(P.トルティナー、T.ヴァイナー)に適用した結果、生活の科学的な分析結果を単位住戸においては段階的に組み合わせ建築空間化し、建築全体においては構成単位が集合する際には社会構成上の単位が認識できるように建築空間化していることが明らかになった。 そして1・2の分析を総合した結果、マイアー主導のバウハウスにおいて統一科学の理論は概念構成というレベルで建築空間化され、他の生物学、心理学、社会学は設計過程の各段階で建築空間化されることが明らかになった。 今後、上記の成果を査読付論文雑誌に投稿し評価と課題を明確化していくと同時に、他のモダニズムの建築家達の状況との比較を行い、近代建築の歴史上に位置付ける。
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