2010 Fiscal Year Annual Research Report
南都諸大寺の中世寺院への転成過程に関する建築史学的研究
Project/Area Number |
20760438
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
大林 潤 独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (40372180)
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Keywords | 平城京 / 南都寺院 |
Research Abstract |
本研究は、平城京の諸大寺の伽藍配置や建築の性格を対象に、建築史学的方法と、発掘調査による知見、文献資料の検討を行うことを課題とする。平成22年度は、過去2年間に収集した資料の整理と、補足作業をおこなった。また西大寺旧境内で行われた発掘調査図面の集成と、西大寺関係資料の再検討をおこなった。 発掘関係資料の収集は、これまで報告されている奈良県下の寺院・神社に関する発掘調査概報集を作成し、デジタル化した図面と入力したデータをリンクさせた新たなデータベースを作成するための作業をおこなった。これらの作業には、学生アシスタント1名の協力を得た。 また、遺構平面図の集成作業は、薬師寺・西大寺の2寺の作業を開始した。作業には、画像編集ソフト(adobe photo shop)と、CADソフト(ベクターワークス)を使用している。作業には学生アシスタント1名の協力を得た。 西大寺関係資料の再検討は、「西大寺資材流記帳」に記載されている内容について、検討を進めている。これらの資料と、上記発掘調査遺構との照らし合わせをおこなうことで、奈良時代における西大寺伽藍の全体的な復元と、現在残る中世に復興された西大寺伽藍との対比が可能となる。特に、近年発掘された、西大寺薬師金堂については、検出された遺構と資料の記載内容が合致しており、細部の検討を重ねることで、往時の姿を復元することが可能である。これらの成果は、平成23年度に論考をまとめ、発表する予定である。
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