2008 Fiscal Year Annual Research Report
バルク金属ガラスにおけるナノスケール構造変化の直接観察
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20760442
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 秋彦 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (90350488)
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Keywords | バルク金属ガラス / 局所構造解析 / 結晶化過程 / 透過型電子顕微鏡 / 原子クラスター / 準結晶 / ナノビーム電子回折 / 複雑金属間化合物 |
Research Abstract |
本研究では、バルク金属ガラスの著しく高いガラス安定性について、構造的観点から明らかにすることを目的としており、バルク金属ガラスの結晶化挙動について透過型電子顕微鏡を用いた観察を行った。具体的には、10mm径までのロッドが作製可能であるFe-Cr-Mo-C-B-Tmバルク金属ガラスの結晶化過程についてのナノスケール観察を行い、特徴的なナノスケールでの結晶化過程を見出した。まず、結晶化は2段の発熱反応によって特徴づけられ、2段目終了後には他のFe系バルク金属ガラスで頻繁に観察されるM_<23>C_6構造の出現が確認された。一方で、1段目の反応においては、X線回折での顕著な結晶ピークが見られないため、ナノビーム電子回折を用いた詳細な観察を行った。その結果、α-Mnタイプのχ-FeCrMo構造がナノスケールで形成されていること、また、その形成初期にはχ-FeCrMo構造に類似した準結晶的造が出現することが明らかとなった。電子回折パターンの特徴から、この準結晶的構造はガラス状態の局所構造とχ-FeCrMo構造の中間的な特徴を持つことが明らかとなり、ガラス構造と結晶構造を結ぶ重要な構造であると考えられる。また、今回見出した準安定化合物構造は16配位多面体を基本にしていること、それらの連結様式には多様性があることが明らかとなった。つまり、結晶化過程において配位多面体の連結様式が異なるいくつかの準安定状態が実現されており、その構造の多様性がガラス安定性に寄与しているものと結論づけた。最近のZr基金属ガラスに対する構造シミュレーションにおいても、20面体クラスターの存在とその連結の多様性の存在が報告されており、金属ガラスの構造安定性には、主なる多面体とその多様な連結様式の存在が重要な役割を果たすと考えられる。
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Research Products
(7 results)