2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760443
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
澤田 浩太 National Institute for Materials Science, 材料信頼性センター, 主任研究員 (00354225)
|
Keywords | 高Crフェライト系耐熱鋼 / 溶接継手 / クリープ強度 / 多軸応力 / Type IV破壊 / 微細組織変化 |
Research Abstract |
本年度は、ASME Gr.92鋼溶接継手の650℃・長時間破断材(10,560h)において、クリープボイドの分布および多軸応力分布の評価を行った後、継手内のうち、転位組織・析出物の観察部位の位置決めを行い、TEMによる組織観察を実施した。FEM解析から、溶接継手の熱影響部のうち、細粒域においてクリープ中に多軸応力が発生しており、試験片内部(肉厚中心付近)の多軸度は、試験片表面に比べて高いことが分かった。溶接熱影響部の細粒域では、クリープボイドの生成が最も顕著で、細粒域における試験片内部の損傷は、試験表面に比べて進行していた。以上から、多軸応力の高い部位において、クリープ損傷が最も顕著に生じていることが分かった。次に、熱影響部の細粒域で、クリープボイドが多量に生成していた試験片内部と、クリープボイド量が少なかった試験片表面において析出物の分布、サイズおよび転位組織を比較した。試験片内部、試験片表面ともに、M_<23>C_<6>炭化物、MX炭窒化物、Laves相、Z相が観察された。 Laves相およびZ相の析出物の数は、観察位置によらずほぼ同様であった。一方、試験片内部におけるM_<23>C_6炭化物およびMX炭窒化物の平均サイズは、試験表面近傍に比べて大きかった。つまり、このことは、多軸応力の高い部位では、析出物の成長が促進されることを示唆している。粗大なM_<23>C_6炭化物はクリープボイド生成の起点となることが知られており、試験片内部で同炭化物の平均サイズが大きかったことから、試験片内部ではクリープボイド生成起点がより多く存在していると考えられる。サブグレインサイズについては、観察部位による大きな差は認められなかった。
|