2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760444
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
樋口 健介 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 研究員 (10462897)
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Keywords | 拡散 / 電磁浮遊 / 中性子CT / ガスジェット |
Research Abstract |
過去に行った電磁浮遊炉を用いた無容器拡散のテストでは、急冷凝固が充分に行えないという問題があったため、凝固時の流動により濃度分布に強い対流の履歴が観測されていた.そこで本年度は、600K-2000K(下限は温度計の測定限界)の広い温度域で,対流抑制のための静磁場中で無容器拡散実験が行える,石英ガラス製の小型ガスジェット電磁浮遊ハイブリッド炉を作製した.本方式では加熱と浮遊を独立して行えるため,低融点合金においても急冷凝固が行えるようになった.また,電磁浮遊コイルも改良し,計算機シミュレーションとも合致した無容器拡散に最適な温度プロファイルが得られるようになった. 試料としては,密度差が小さく浮力対流の影響を受けず,拡散実験のリファレンスあるIn-Sn合金をメインターゲットとし,加えて,トレーサーとして微量のボロンを埋め込んだA1試料(無容器実験と中性子CTに最適な試料)も用いた.拡散対は,拡散源を埋め込んで表面の影響を回避する方式,二種の金属を重ねる方式など,さまざまな初期配置のものを用意し,無容器拡散実験を行った.拡散後の試料内の濃度は,JAEAの研究炉JRR-3において中性子CTを行い,三次元的な濃度分布を取得した.この結果,In-Sn合金では濃淡がほぼ見られなかったが,B-A1についてはボロンの分布から静磁場印加によって対流が充分に抑制されていることがわかった. In-Sn系については中性子の吸収断面積からあらかじめ最適な組成の拡散対を準備したのだが,微妙な初期組成の変化で濃淡が見えなかった可能性もあるため,次回は異なる組成の試料を用意してCT撮影を行う予定である.また,いずれの試料においても,急冷時に試料形状の変化が見られているため,現在はその原因の究明と,無容器拡散の実験条件の最適化,ガスジェットノズルの改良を行っている最中である.
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