2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型高温プロトン導電体における欠陥構造およびイオン輸送現象
Project/Area Number |
20760446
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八代 圭司 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 講師 (20323107)
|
Keywords | プロトン導電体 / 中温形燃料電池 / ペロブスカイト型酸化物 / 拡散係数 / イオン導電率 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型局温フロトン導電体では、プロトン、酸化物イオン、ホールなどの都分導電率が温度・雰囲気ガス分圧により大きく変化し、主要キャリアが変動する。この輸率変化の温度依存性については多くの報告が存在するが、分圧依存性についての系統的な報告はほとんど無い。輸率はプロトン導電体デバイスの性能を大きく左右する特性であり、早期のデータ整備が望まれる。本研究では、導電率測定および同位体拡散法を利用して酸化物イオン輸率とプロトン輸率を正確に分離して評価することを目的とする。平成20年度は主に導電率測定を利用した部分導電率の決定にフォーカスした. ジルコネート系を代表としてSr(Zr,Y)O_3、セレイト系を代表してBa(Ce.Y)0_3の2種の代表的なペロブスカイト型高温プロトン導電体において、温度、酸素分圧、水蒸気分圧の関数として4端子法により導電率を測定した。Sr(Zr,Y)O_3では全導電率が水蒸気分圧に大きく依存したのに対し、Ba(Ce, Y)O_3においては水蒸気分圧依存性は殆ど見られず、むしろ酸素分圧に大きく依存するという結果を得た. 熱重量法により決定した各欠陥種濃度の分圧依存性と併せて解析した結果、2種のプロトン導電体での導電特性のこの違いは、主に酸化物イオン導電率の違いと考えられる. すなわち、ジルコネート系に対しセレイト系では酸化物イオンの拡散係数が2桁程度大きく、この寄与により全導電率の分圧依存性の違いが矛盾なく説明できることが明らかとなった.またセレイト系では酸化物イオン導電率、ホール導電率が高酸素分圧域で大きく変化するため、プロトン輸率は800℃では0.2-0.3、700℃でも0.4-0.6と小さい、0.8以上の高いプロトン輸率を高酸素分圧域でも得るには600℃以下にする必要がある.
|