2008 Fiscal Year Annual Research Report
欠陥化学的発想によるケイ酸鉄リチウム材料のリチウムイオン電池反応機構の考察
Project/Area Number |
20760450
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 将伸 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (10401530)
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Keywords | リチウムイオン電池 / 格子欠陥 / ケイ酸鉄リチウム / イオン伝導 |
Research Abstract |
新しいリチウムイオン電池正極材料であるケイ酸鉄リチウムLi_2FeSiO_4について、格子欠陥構造を調査した。メスバウアー分光法と酸化還元滴定により、合成温度の低下するにつれてFeの価数が高酸化数になることが見出され、LiFeSiO_4が生成していることが示唆された。このような酸化は初期容量の低下につながるため、電気化学特性としては魅力的ではない。一方、高温焼成したサンプルではFeの酸化数が低下し初期容量が増加する傾向がみられたが、電気伝導度の低下もみられ、分極が大きくなりレート特性が悪化した。これは、サンプル合成時に生成する原料由来のカーボンが、粒子表面をコーティングされ電子伝導度を高めていたが、組成分析の結果より高温合成ではカーボンが焼失するため伝導低下につながった為であることが明らかとなった。 また、結晶構造が明らかではないLi_2FeSiO_4系材料に対して、結晶構造が既知であるLiFePO_4材料について第一原理計算を行い、強相関系電子である鉄電子の挙動を再現することに成功した。また、イオン伝導現象を理解するために、単純なホタル石型構造の材料について、格子欠陥のモデルからイオン伝導度を結びつける理論式を構築した。第一原理計算を用いて理論の整合性を検証したところ、既知材料のイオン伝導度を定性的に反映できることを明らかにした。次年度以降、これらの第一原理計算による物質物性解析法が、実験結果より明らかとなるLi_2FeSiO_4材料の格子欠陥モデルに照らし合わせることで、原子レベルの物性発現機構解析につなげられると考えている。
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Research Products
(3 results)