2009 Fiscal Year Annual Research Report
欠陥化学的発想によるケイ酸鉄リチウム材料のリチウムイオン電池反応機構の考察
Project/Area Number |
20760450
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 将伸 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (10401530)
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Keywords | リチウムイオン電池 / 格子欠陥 / ケイ酸鉄リチウム / イオン伝導 |
Research Abstract |
新しいリチウムイオン電池正極材料であるケイ酸鉄リチウムLi_2FeSiO_4の格子欠陥とその生成反応機構、またイオンの拡散機構を理解するためについて、第一原理計算法を適用することを検討した。第一原理計算は基底状態の結晶構造を計算することは簡単であるが、欠陥生成やイオン拡散のような励起状態を取り扱うことは困難である。またケイ酸鉄リチウムLi_2FeSiO_4の欠陥生成機構は三元系モデルを取り扱わなければならないため、技術的困難性も大きい。 そこで、より単純な結晶構造を有し、二元系モデルで欠陥生成を理解することができるCeO_2(酸化物イオン導電体)や(Li,La)TiO_3のような材料をモデル物質として、計算モデルを構築した。欠陥構造の考察は、主に配置のエントロピーの観点から検討を行った。すなわちCeO_2系材料の場合は、酸素空孔の生成をボルツマン統計に従うとし、酸素空孔の局所構造に対して個別に空孔生成エネルギーを第一原理計算によって算出することで、欠陥の系内の分布を導出した。この結果は、実験値とよく一致した。一方、(Li,La)TiO_3のように中濃度の欠陥を系内に含む材料は、クラスター展開法を適用した。このような、計算法を基盤としてLi_2FeSiO_4系材料にも三元系のクラスター展開法を適用し、その予測精度の検討を実施できた。計算値と実験間の精度につい、現在検討を行っている。 また、イオン拡散については、弾性バンド計算モデルを適用し、イオンホッピングの計算値を導出した。CeO_2の場合でよく実験値と一致した。希土類で置換したCeO_2の場合は、様々な局所相互作用が発生し、イオン電導モデルの構築が難しくなるが、本研究では非アレニウス性や、ドープ量に対してイオン伝導度が最大になるような最適値が存在することを再現するなどの成果を得た。
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Research Products
(5 results)