2010 Fiscal Year Annual Research Report
欠陥化学的発想によるケイ酸鉄リチウム材料のリチウムイオン電池反応機構の考察
Project/Area Number |
20760450
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 将伸 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (10401530)
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Keywords | リチウムイオン電池 / 格子欠陥 / ケイ酸鉄リチウム / イオン伝導 |
Research Abstract |
本年度は、Li_2FeSiO_4材料の電気化学反応の速度論を物質移動の観点から検討した。しかし、Li_2FeSiO_4材料のように二相共存反応で充放電する系では、物質移動現象を定性および定量的に記述する方法がない。そこで二相共存反応では、核生成・成長機構に基づく反応が律速になると仮定して、物質移動現象のミクロモデル構築を最初に検討した。核生成・成長の過程を補足するために、パルス定電流充放電滴定法の電気化学測定シーケンスを考案し、二相共存系材料について適用したところ、どの材料においても充電と放電反応に対して非対称な分極プロファイルが得られた。この結果から二相共存反応が進行している粒子はコア・シェル型モデルで相分離していることが分かった。常にリチウム挿入相が外側(シェル側)であり、このことから放電時はドメインの移動が、充電時は核生成が反応律速になることが提起された。また、粒子内部のイオン輸送は、ポーラロン(Fe^<3+>/Fe^<2+>)と結合した状態で行われることが、モデル材料CeO_<2-d>を用いた第一原理計算によって定量的に解明することができた。この場合、ポーラロンの位置がイオン拡散に伴って自由に移動できることから、活性化エネルギーは必ず低下し、イオン伝導に有利になることが示された。以上の知見から、電気化学反応において、ミクロな状態ではLiイオンの移動とポーラロンが、メソスケールでは2相の界面のドメイン移動が反応速度論を律することを明らかにすることができた。今後の材料設計には、2相界面の界面生成エネルギーを低下させるために、両者の格子不整合を減少させ、ポーラロン伝導を活性化するようなドーピングストラテジーによって、高速充放電を可能とする電極材料が得られると考えられる。
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Research Products
(4 results)