2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760452
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小山 幸典 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (20437247)
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Keywords | リチウム電池 / 計算材料学 / 硫化物 / 炭化物 |
Research Abstract |
リチウム・マグネシウム硼炭化物、(Li, Mg)BCの可逆電位や安定構造を求めるために、系統的な第一原理計算とそれに基づく統計力学モンテカルロシミュレーションを実施した。統計力学に則って熱力学量を求めるためには極めて膨大な数の構造のエネルギーを評価する必要がある。しかし、第一原理計算の計算コストを考えると、その全ての構造を第一原理計算で評価することは不可能である。そこで本研究では、第一原理計算と統計熱力学シミュレーションをつなぐ手段としてクラスター展開法を採用した。クラスター展開法では結晶をクラスターの集合であると見なし、結晶のエネルギーをクラスターが持つエネルギーの和として表す。ここで、各々のクラスターが持つエネルギーを第一原理計算の結果と一致するように決定することにより、非経験的に統計力学シミュレーションを実施することを可能とした。本研究では十分な計算精度を得るために500種類と非常に多数の構造モデルに対する系統的な第一原理計算を実施した。この結果に対してクラスター展開法を適用したところ、第一原理計算で求めたエネルギーを平均で5meV以下の誤差で表現することに成功した。そこで、このクラスター展開法の結果を用いてメトロポリスモンテカルロ法による統計力学シミュレーションを実施した。その結果、MgB2C2とLiBcの擬2元系において、LiMgB3C3という相が安定な中間相として存在することが示唆された。このLiMgB3C3という相は実験においても未だ報告されていない結晶相である。また、MgB2C2-LiBC擬2元系におけるリチウム挿入電位を評価したところ、MgB2C2-LiMgB3C3では0.79V、LiMgB3C3-LiBCでは0.74Vと予測され、リチウムイオン電池負極材料として望ましい電位を持つことが示唆された。
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