2009 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼性電子材料としてのシリカ/エポキシナノコンポジットの調製と熱的・機械的特性
Project/Area Number |
20760457
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
棚橋 満 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 講師 (70314036)
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Keywords | シリカナノ粒子 / エポキシ樹脂 / ナノコンポジット / 凝集体 / 分散 / 撹拌 / 熱線膨張率 / ガラス転移温度 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,分散粒子の表面改質を要しない簡便なトップダウン型アプローチによるシリカ/エポキシ系ナノコンポジットの創製を目指し,当初の計画を踏まえて以下の研究を実施した。 (1) 異なる様式の撹拌手法を用いたシリカ凝集体とエポキシ樹脂とのコンポジット化:撹拌羽根(スターラー)および機械式ホモジナイザーを用いて,シリカ凝集体を液状ェポキシ中で解砕分散させることを試み,昨年度実施したプロペラレス自・公転式遊星撹拌を用いた場合と解砕・分散性を比較した。本系での凝集体の解砕は,外力として強力な遠心力が作用することにより生じる凝集体同士の衝突が促される場合に,顕著に生じることが明らかとなった。明らかとなった本系での凝集体解砕機構および昨年度検討した熱可塑性樹脂をマトリックスとした場合の凝集体解砕機構を踏まえて,液状エポキシの粘度,凝集体の一次粒径と孔構造を変化させた場合の解砕・分散性について検討し,撹拌条件を最適化することによって,一次粒径190nmのシリカ凝集体のみならず57nmの粒径の凝集体についても,エポキシ樹脂中で50wt%もの高配合率での完全解砕(一次粒子レベルでの単分散)を達成することができた。 (2) 各種熱分析によるシリカ/エポキシナノコンポジットの特性評価:一定の冷却条件に制御した加熱プレス機により成形したコンポジット試料を,熱機械分析に供して,熱線膨張率(CTE)を測定した。190nmの粒径のシリカを単分散させた場合には複合則を凌駕するCTE抑制効果が得られた。同等の分散性を有するシリカ/ポリスチレン系ナノコンポジットのCTEについても検討したが,この系のコンポジットと比較しても,本系ナノコンポジットのCTEはより効果的に低減されたことを確認した。また,示差走査熱量測定および熱重量分析を行ったところ,シリカナノ分散によりガラス転移温度や熱分解開始温度がより高温にシフトし,優れた耐熱性も有することも分かった。 (3) 本研究のまとめと報告:以上の結果から,提案手法が,高信頼性電子基板材料となりうるポテンシャルを有するシリカ/エポキシナノコンポジットの簡易調製法として適用可能であることが示唆された。本研究の成果を学術論文ならびに国内・国際会議にて発表した(次頁以降の11.研究発表参照のこと)。
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Research Products
(8 results)