2008 Fiscal Year Annual Research Report
両性イオン界面活性剤を用いた単分散カーボンナノチューブ内包型多孔質シリカの創製
Project/Area Number |
20760458
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅田 純子 Osaka University, 接合科学研究所, 特任研究員 (50345162)
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Keywords | 複合粒子 / 多孔質シリカ / カーボンナノチューブ / 籾殻 |
Research Abstract |
植物由来の多孔質構造を有する籾殻焼成シリカにおいて, X線CTおよび走査型電子顕微鏡を用いた幾何学的構造解析を行った結果, 直径10〜20ミクロン程度の直径を有するハニカム構造がシリカの主たる骨格を形成し, その壁面内に直径1ミクロン以下の連結空孔が多数存在している. これは籾殻内に水分を供給するための3次元ネットワーク構造に由来するものであると考えられる. 他方, 従来の鉱物シリカとの違いの一つとして, 水酸基(-OH)を有する点であり, これを詳細に調査すべく, pH値の異なる水溶液中にシリカ粒子を分散させ, ゼータ表面電位を測定した. pH<6の酸領域において従来の鉱物系シリカ(SiO2)は-10〜-20mV程度を示すのに対して籾殻由来シリカは-40〜-60mVと大きな負の値を有しており ; これは上記の水酸基に起因すると考える. 上述した2つの特徴(3次元多孔質構造と-OH基による負のゼータ電位)を利用し, 両性イオン界面活性剤水溶液中に単分散したカーボンナノチューブ(CNT)をシリカの内部に誘導することを試み, その結果, シリカ粒子表面のみならず, 空孔内部・壁面にまでCNTの均一分散・付着を確認した. メカニズムとしては, 両性イオン界面活性剤の親油基側がCNTと結合し, 反対の親水基側で+/-電荷を有するわけであるが, この電荷と上記の-OH基による負のゼータ電位間での電気的引力により単分散状態のCNTがシリカ内部に誘導され, 水溶液として浸透したものと考えられる. また, このようにして得られた単分散CNTを含有する籾殻由来シリカ複合粒子について示差熱量重量分析装置を用いて800℃までの温度範囲でCNTとシリカの反応性を確認したところ, 両者の反応に伴う発熱ピークもなく, さらに同試料をX線回折した結果, SiCなどの反応化合物も同定されなかった. 以上の結果より, CNT内包型多孔質シリカ粒子を金属補強材として利用する際. CNT自体はシリカと反応することなく存在し, CNT固有の特性を発現できると考える.
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