2009 Fiscal Year Annual Research Report
鋳造→圧延→熱処理工程のみで創製する600MPa級の高強度マグネシウム合金板材
Project/Area Number |
20760463
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
糸井 貴臣 Chiba University, 大学院・工学研究科, 助教 (50333670)
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Keywords | マグネシウム合金 / 長周期構造 / 機械的特性 / 組織観察 / 圧延加工 |
Research Abstract |
前年度において、高強度化を試みるためにMg-TM(TM=Ni,Cu)-Y鋳造合金を作製し、その中で長周期相とMg相の2相合金に着目して組織と機械的特性を調べた。長周期相を生成させるためには、M:Yが1:2となる組成が望ましく、それ以外の組成比では、脆性的な化合物を生成する傾向がある。しかし、Cu:Yが1:1の組成比において、高強度かつ延性の高い合金が作製できる事を偶然に発見した。組織観察を行った結果、強化因子となる長周期相の生成量が減少しても、Mg-Cu-Y相が生成する為に、強度を大きく低下させる事なしに、延性の高い合金を作製できる事がわかった。Mg94Cu3Y3(at%)鋳造合金について引張試験を行った結果、204MPaの降伏強度、292MPaの引張強度、11%の伸び値を示す事がわかった。大気中、623Kで1パス3%の圧下率にて、最終圧下率70~85%までの圧延を行い、板材(1.0×20×100mm)を作製した。圧延板の組織観察を行った結果、長周期相は圧延方向へ集合組織化していたが、Mg-Cu-Y相は2~5μm程度に微細化しており、試料全体に均一に分散していた。作製したMg_<94>Cu_3Y_3(at.%)合金板材(90%圧延)について引張試験を行った結果、室温で417MPaの降伏強度、451MPaの引張強度および5%の伸び値を示した。また、653Kで0.5hの熱処理を施した熱処理材は、355MPaの降伏強度、446MPaの引張強度、9%の伸び値を示し、強度は低下したが、伸び値は増加した。圧延材の比強度は212MPa/(Mg・m^<-3>)であり、前年度に見出したMg_<90.5>Ni_<3.25>Y_<6.25>(at.%)合金板材と比較して希土類元素量が半分であるにもかかわらず、同程度の比強度を示した。また、長周期相のさらなる高強度化を目的として、Mg-M-Y合金作製において、Mに高融点金属であるPt(融点:2045K)を合金化させ長周期相の作製を試みた。その結果、Mg-Pt-Y合金においても長周期相の生成は確認され、Mg96Pt2Y2(at.%)鋳造合金で硬さ値が116HV0.5であり、同組成Mg-TM(TM=Ni,Cu)-Y鋳造合金の90HV0.5と比較してより高い硬さ値を示した。
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