2008 Fiscal Year Annual Research Report
時効による安定化ジルコニアの導電率低下メカニズムの光学的評価法に関する研究
Project/Area Number |
20760468
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蜂谷 寛 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 助教 (90314252)
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Keywords | イオン結晶 / 格子欠陥 / 燃料電池 / 物性実験 / セラミックス |
Research Abstract |
イットリア安定化ジルコニア(YSZ)のイオン伝導率およびその時効による低下の度合いはイットリア添加量で大きく変わるが、さらにスカンジア, インジアなどを添加することによって、時効による劣化が抑制される添加条件があることがわかっている。8YSZ, 10YSZ等を用いた申請者らの先行研究に引き続き、これらの添加試料の発光スペクトルの測定によって、劣化の抑制メカニズムを明らかにし、新たな、より効果的な添加剤の提案のための評価法を確立する研究に既に着手しているが、光学特性の検討を行った先行研究のほとんど無い物質であるために、光吸収スペクトルと併せた発光ピークの帰属、励起-発光過程の詳細な検討を、フォトルミネッセンス(PL)測定と併せた分光光度計による吸収スペクトル測定によって新たに行うことが不可欠である。共に時効による劣化を抑制する効果を持つにもかかわらず、添加にともなって導電率の値を低下させないスカンジアと低下させるインジアの違い、インジアの添加量4mol%付近での導電率の特異な振舞を、酸素空孔の局所構造と関連づけて説明することを目標とした。 本年度は、主要設備である紫外-可視-近赤外分光光度計を設置・稼働させ、吸収スペクトル測定系を構築しスカンジア/インジア添加YSZを用いた測定を行った。また、スカンジウムイオンによる摂動を受ける酸素空孔からのPL発光の解析のために、上述の吸収スペクトルとともに、スカンジア安定化ジルコニアでのPL測定に着手し、その現在までの成果について、国際会議The IUMRS-ICA 2008 Conference(Nagoya, Japan, Dec, 2008)において、"Photoluminescence properties of scandia-stabilized zirconia"と題する研究発表を行い、論文投稿も進行中である。
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