2009 Fiscal Year Annual Research Report
時効による安定化ジルコニアの導電率低下メカニズムの光学的評価法に関する研究
Project/Area Number |
20760468
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蜂谷 寛 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 助教 (90314252)
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Keywords | イオン結晶 / 格子欠陥 / 燃料電池 / 物性実験 / セラミックス |
Research Abstract |
イットリア安定化ジルコニア(YSZ)のイオン伝導率・時効による低下の度合いはイットリア添加量で大きく変わるが、さらにスカンジア,インジアなどを添加することによって、時効による劣化が抑制される添加条件がある。8YSZ, 10YSZ等を用いた申請者らの先行研究に引き続き、これらの添加試料の発光スペクトルの測定によって、劣化の抑制メカニズムを明らかにし、新たな、より効果的な添加剤の提案のための評価法を確立する研究に既に着手しているが、光学特性の検討を行った先行研究がほとんど無いため、光吸収スペクトルと併せた発光ピークの帰属、励起-発光過程の詳細な検討を、フォトルミネッセンス(PL)測定と併せた分光光度計による吸収スペクトル測定によって新たに行うことが不可欠である。共に時効による劣化を抑制する効果を持つにもかかわらず、添加にともなって導電率の値を低下させないスカンジアと低下させるインジアの違い、インジアの添加量4mol%付近での導電率の特異な振舞を、酸素空孔の局所構造と関連づけて説明することを目標とした。 本年度は、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)のPL測定による欠陥構造とその電子構造との関係のスカンジア添加量に対する変化を明らかにした。また、YSZ, ScSZの発光強度の温度依存性を調べ、実験を再現する温度-強度の式を与えるモデルを提示することにより、欠陥構造変化に対する依存性の異なる各発光サブバンドを分類するための指針を得た。 また、同じく酸化物イオン結晶であり酸素空孔構造を有する典型的な化合物である酸化チタンに対しても、バンドギャップ付近の紫外可視近赤外光吸収スペクトル測定とPL測定を用いた励起-発光過程の検討による酸素空孔の電子構造の研究に着手し、とくにマイクロ波照射による電磁波と酸素空孔構造、酸素イオン輸送・放出とその促進に重点を置いて研究の新たな展開を図った。
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