2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760477
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
関戸 信彰 National Institute for Materials Science, 環境・エネルギー材料萌芽ラボ, 主任研究員 (10462516)
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Keywords | 拡散 / 白金族金属 / 高温材料 / 元素戦略 |
Research Abstract |
融点・比重・高温強度に優れるものの、耐酸化性が極めて乏しい炭素材料を高温構造用材料として利用するためには、炭素の酸化を防止するコーティング材料の開発が不可欠である。炭素材料に対するコーティングには、酸素の内方拡散と炭素の外方拡散を防止する拡散バリアー層を導入することが望ましい。申請者は、その候補として酸素の透過速度が低いPtやIr等の白金族金属に着目した。その適応性を判断するためには、白金族金属中における炭素の拡散に関する知見が不可欠である。そこで本課題研究では、Pt中における炭素の拡散係数を測定することを目的とした。また、粒界拡散は粒内拡散よりも数桁速いことが知られており、炭素の透過速度を考慮するためには、粒界特性に関する理解が求められる。特に、粒界脆性を示すIrは、微量のY添加により粒界脆性が改善できることが示されているものの、そのメカニズムは不明である。そこで、Ir-Y二元系における相平衡、ならびに相変態挙動についても研究対象を拡張した。 Ir-Y二元系状態図を実験的に決定した。Ir_2Yは、第二相としてIr_3Yを析出し、その成長はレッジ機構に支配されることを明らかにした。また、Ir母相に対するYの固溶限は極めて低く、Yの粒界偏析が、粒界脆性の改善に何らかの影響を及ぼすことが示唆された。 続いて、Pt中におけるCの拡散係数を測定した。粗大粒組織を有する純Pt試験片に侵炭処理を施し、表面からの炭素の濃度プロファイルをGDSで測定することにより拡散係数を求めた。なお、本手法の有効性は、Ni標準試料を用いて確認した。Pt中における炭素の拡散係数は、1200℃で10^<-15>~10^<-16>(m^2/s)程度である。これは、Pt中の酸素の拡散係数よりも1桁程度小さい。また、Fe、Ni、Co等のFCC金属における炭素の拡散係数と比較すると、5桁程度低い。すなわち、Ptは、炭素・酸素に対する有効な拡散バリアー層として機能する可能性があることが見いだされた。
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