2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野瀬 健二 The University of Tokyo, 生産技術研究科, 助教 (10451882)
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Keywords | マイクロ波プラズマ / CVD / 表面終端 / 電子放出 |
Research Abstract |
本研究では、ダイヤモンドの新たな表面構造の作製を通じた表面伝導層や電子親和力の統一的理解を狙い、これまでに扱われていない、<1>窒素やアミノ基による表面ダングリングボンドの終端と<2>超高真空中での表面の化学結合状態の評価を行った。アンモニア水溶液中での電気化学反応により、多結晶ダイヤモンド表面の水素終端は容易に酸素終端化されることがX線光電子分光測定により明らかとなった。こうした反応において窒素原子を伴う終端化は生じず、水溶液中の酸素原子による終端が優先的であった。このことは、三つの不対電子からなる窒素終端がダイヤモンド表面上では、不安定であることを示唆している。こうした表面終端構造を作製する研究の過程で、偶然、微小かつ鋭い結晶のエッジを有するダイヤモンドの粒子が作製されることに気付いた。これらの粒子により覆われた表面から、1-2MV/mという極めて低い電界強度において電子が放出する現象が見出された。この電子放出は24時間以上保持されることが示された。これらの現象はフラットパネルディスプレイや各種分析機器の電子放出源に利用可能なものである。これまでにダイヤモンド表面に意図したピラミッドやウィスカー形状を作製することで真空中への電子放出の閾電界強度が低減されることが報告されていた。これに対して本研究では、自発的に形成されるダイヤモンド粒子が微小な結晶粒からなり、表面が水素終端されることにより、電子放出が効率よく生じていることが明らかとなった。粒子状態の表面結合状態の分析はオージェ電子分光法によってなされ、単一粒子においても水素終端化が確認され、基板からの伝導や表面での電子親和力の低減に有効であることが示された。
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[Book] Industrial Plasma Technology2010
Author(s)
Yoshinobu Kawai, Hideo Ikegami, Noriyoshi Sato, Akihisa Matsuda, Kiichiro Uchino, Masayuki Kuzuya, Akira Mizuno
Total Pages
315-334
Publisher
Wiley-VCH
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