2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ細孔3次元チャネルを有する超構造化ゼオライト薄膜プロセスの開発
Project/Area Number |
20760490
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小野木 伯薫 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 助教 (90375147)
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Keywords | その場観察 / 水熱ホットプレス |
Research Abstract |
Y型ゼオライトの緻密化薄膜プロセスを確立した。二重構造を有するカプセル中にアルミナ支持体と溶媒となる水酸化ナトリウム水溶液を吸着させたY型ゼオライト原料を封入した。このカプセルをバッチ式オートクレーブ処理により等方的に加圧・熱処理(40MPa,150℃)した。これによりカプセル内部を水熱ホットプレス状態となることで薄膜が得られる。これまで平板にしか成膜できていなかったが、本年度はモジュール化に向けてパイプ状支持体にY型ゼオライト薄膜を製膜する手法を確立した。またY型ゼオライトのバルクセラミックスとしての機械的特性を測定した(ヤング率:約35GPa、曲げ強度:約60MPa)。水熱処理の条件検討を詳細に行った昨年度の結果を踏まえ、本年度は一軸加圧水熱処理装置(水熱ホットプレス)を用いて緻密体が得られる条件下での水熱ホットプレス処理その場観察を行うため、オートクレーブに観察窓をとりつけた。これによりY型ゼオライトの透明緻密化過程のその場観察に成功した。これまでに経験的に伝熱速度を考慮した加熱条件の選択、冷却時における圧力の維持が必要であることがわかっているが、透明緻密体作製プロセスのどの段階で透明化しているか不明であった。その場観察により材料中の溶媒の挙動を把握することが可能となり、温度が高い部分から脱水が始めると同時に透明化が始まることが判明した。水熱ホットプレス法による固化・緻密化の機構は一般的に溶解析出機構であることが知られているが、Y型ゼオライトについては、これと異なる固化・緻密化機構を有しており、自己集合組織化作用による可能性も示唆されている。今後、より精緻に設計された薄膜を作製するためにも、水熱ホットプレスその場観察系に分光分析系を組み込むことでY型ゼオライトの透明緻密化機構を明らかにしていく。
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