2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAシーケンサ用新規シリコンナノポア形成法の開発
Project/Area Number |
20760495
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
生駒 嘉史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (90315119)
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Keywords | 化学気相堆積法 / パルスジェットCVD / ナノポア / シリコン / シリコンカーバイド / 形成位置制御 |
Research Abstract |
ナノメートルサイズの微細孔であるナノポアは、近年高性能DNAシーケンサ開発の際に重要な要素として注目されている。本研究では、化学気相堆積法によるSiC/Si(100)ヘテロエピタキシャル成長を利用した新しいシリコンナノポア形成法を目指している。本年度はナノポア形成位置制御に関する研究を行った。はじめにSilicon on Insulator (SOI)基板裏面を異方性エッチングにより一部を除去した後、埋め込み酸化膜層を除去し、表面シリコン層のメンブレンを形成した。基板温度900℃にてモノメチルシランパルスジェットを基板裏面より照射することで、SiC薄膜および{111}ファセットを有するピットを表面シリコン層へ選択的に成長させた。走査型および透過型電子顕微鏡観察により、ポアは基板裏面にエッチングを施した部分のみに形成されており、基板裏面からのSiC成長によるポア形成位置制御が可能であることがわかった。しかしながら、SOI基板表面からCVD成長を行った際と同様に、ポア径が100nm程度に粗大化することがわかった。これは酸化膜層が存在しない場合、ピット先端が表面シリコン層を貫通した後も外方拡散が継続するためと考えられる。次に表面シリコン層上面の酸化膜を残した状態で、基板裏面および埋め込み酸化膜層をエッチングすることにより、酸化膜付き表面シリコン層のメンブレンを形成した。このSOI基板の裏面よりパルスジェット照射によりSiCおよびピット成長を行った後、表面シリコン層の酸化膜を除去した場合、50nm以下のナノポア形成が可能であることがわかった。以上の結果は、酸化膜によるシリコン原子の外方拡散抑制効果と基板裏面からのCVD成長を組み合わせることで、形成位置制御シリコンナノポアの形成が可能であることを示している。
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