Research Abstract |
ものつくり産業の持続的な発展には基礎・基盤技術が必要不可欠であり,異材継手を作製する接合技術が求められている.しかし,異材継手を既存の溶融溶接法で作製する場合,接合界面に脆弱な金属間化合物層が生成してしまい,それが継手性能に大きく影響するという問題点がある.そこで,融点以下の温度で接合が可能である摩擦圧接法の適用が考えられるが,同法で異材継手を作製しても必ずしも母材部から破断するという良好な継手が得られていないのが実情となっている.本研究課題では,研究者が開発した低入熱摩擦圧接法および接合自己完了型摩擦圧接法について,異材継手を容易に作製するための接合条件の体系化およびそのデータベースを構築することを目的とした.その中で本年度は,異材摩擦圧接メカニズムを解明するため,純Tiと純Cu,各種Alと軟鋼,黄銅と軟鋼という各種材料を組み合わせた場合の接合実験を行い,実際に接合面のどの部分から接合され始め,どの時点で接合を完了すれば接合部から破断しない健全な継手が得られるかなどの詳細な内容を把握した.そして,これらの結果を踏まえ,定性的な接合現象の大別化を試みた.また,セラミックス系材料と(非鉄)金属材料の組み合わせのような接合性が悪い組み合わせについて,それぞれの素材との接合性が良いインサート材を用いてこれら3種類の素材の同時接合を行うための第一歩として,接合性の良い真鍮と軟鋼とを組み合せた場合において,低入熱状態で接合ができる接合自己完了型摩擦圧接法の適用を試み,その可能性を探った.それと同時に,同法での接合条件を決定する上での論理的な挿入材寸法形状の検討を行った.さらに,論理的な圧接条件の選定指針となる有限要素解析手法の検討や,摩擦圧接法の利用拡大を目指すため,薄肉円管の接合についても検討を行った.
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