2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760497
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
遠山 岳史 Nihon University, 理工学部, 講師 (40318366)
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Keywords | 組成傾斜材料 / 噴霧乾燥法 / 球状中空体 / ドラッグ・デリバリー・システム |
Research Abstract |
噴霧乾燥法は原料溶液を高温の炉内に噴霧し, 瞬時に乾燥させて粉体を得るプロセスであるが, 2種類の溶解度の相違する物質が溶解した溶液を噴霧させた場合には, 難溶性の物質が先に中空壁として外側に析出し, 溶解度の高い物質は遅れて内部に析出することが予想される.本研究は, 噴霧乾燥法による簡便なプロセスでの組成傾斜粉体の創製を試みるものである.当該年度, 計画書通り炭酸カルシウム-炭酸マグネシウム系組成傾斜型中空体の創製を試みたが, 両者の溶解度の差が小さく明快な結果が得られなかった. そこで, 溶解度が1000倍以上相違するリン酸-水素カルシウム-アセスルファムカリウム系溶液で検討を行ったところ, 1μm程度の球状粒子を得ることができ, さらに, 噴霧溶液の濃度, 噴霧乾燥温度, 圧力等を制御することで球状粒子の粒径を0.5〜5μmの範囲で制御可能であった. この粒子をエポキシ樹脂で包含後, ミクロトームにて切断し, 内部構造を観察したところ, リン酸一水素カルシウムのみを溶解させた溶液からは球状中空体が生成するが, 両者を含む水溶液中を用いた場合には内部に不定形粒子が充填した球状粒子が生成することが確認できた.そこで, この破断面においてEPMAマッピングにより観察したところ, 内部に高溶解性のアセスルファムカリウムが, 外部には難溶性のリン酸一水素カルシウムが中空壁となって存在していることが確認でき, 目的通り噴霧乾燥法により組成傾斜粉体が生成できることを明らかにした.
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Research Products
(2 results)