2008 Fiscal Year Annual Research Report
準安定系/平衡系の相変態を利用したセラミックスの創成と成形プロセスの応用
Project/Area Number |
20760506
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柳楽 知也 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (00379124)
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Keywords | 準安定系 / セラミックス / 過冷融液 |
Research Abstract |
準安定共晶の溶解によって形成される過冷融液から平衡共晶が凝固する本プロセスにおいて、従来、成形性向上の観点から、準安定共晶の粉末を出発とし、等方的な加熱で実験を行ってきた。この場合、成長方向の特定が困難であること、粉末間の自由表面では固相変態でYAG相が優先的に形成され、溶融凝固以外の変態モードが存在する可能性がある。そこで、準安定共晶のバルク体を用いて、一方向に準安定共晶の溶解・平衡共晶の凝固を行い、時間発展における組織形成に関する知見を得ようと試みた。Al_2O_3-YAG共晶の成長速度を決定する可能性のある因子として(1)準安定共晶の溶解速度(2)平衡共晶の凝固速度(3)凝固の発熱と溶解の吸熱間の熱輸送が挙げられる。ただし、溶解と凝固が連成する凝固プロセスで一方向での凝固が可能かどうか明らかになっていない。本研究では、一方向での準安定共晶の溶解と平衡共晶の凝固を試み、(1)と(2)に関してそれぞれ組織形成に及ぼす影響について調べた。一方向での準安定共晶の溶解と平衡共晶の凝固が連成した凝固プロセスが可能であることが明らかとなった。また、準安定共晶の溶解速度および平衡共晶の凝固速度が組織形成に与える影響を調べるために、それぞれ準安定共晶のラメラ間隔および準安定共晶のバルク体の引き下げ速度を制御することにより検討した。平衡共晶のラメラ間隔は平衡共晶の凝固速度だけでなく、準安定共晶の溶解速度に依存していることが明らかとなった。また、平衡共晶の凝固速度が速くなると共晶組織の形態が不規則なネットワーク状から規則的なラメラ・ロッド状に遷移することが明らかとなった。また、0.3-0.5μmのラメラ間隔の小さい準安定共晶組織を用いた場合は、他の一方向凝固、過冷凝固の場合と同様にJackson-Huntによる界面過冷度を最小とする成長条件であるλ^2V=constの関係にほぼ従うことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)