2008 Fiscal Year Annual Research Report
材料組織制御による高温作動型形状記憶セラミック材料の開発
Project/Area Number |
20760508
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
井 誠一郎 National Institute for Materials Science, 材料ラボ, 主任研究員 (60435146)
|
Keywords | ジルコニア / マルテンサイト変態 / 結晶粒界 / 透過型電子顕微鏡 / ドーパント / 粒界工学 |
Research Abstract |
ジルコニアは,冷却に伴い立方晶から正方晶,単斜晶へと逐次相変態を起こすことが知られている.また.1000℃近傍で生じる正方晶から単斜晶への相変態は,マルテンサイト変態であることもよく知られている.多くの研究者は,立方晶および正方晶を利用した組織制御によるジルコニアの高強度化あるいは高機能化を目指した材料開発を行っているが,本研究では正方晶-単斜晶のマルテンサイト変態を利用した材料開発を試みている.本年度は,純ジルコニア粉末の相変態挙動を示差熱分析(DTA)により調べ,その微細構造をX線回折および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて調査した.DTA測定の結果,冷却に伴い約900℃近傍でマルテンサイト変態に伴う発熱のピークが認められた.X線回折を行った,合成ままの純ジルコニア粉末は単斜晶のみで構成されていた.また,逆変態温度近傍温度に対応する1000℃および1200℃での焼鈍を施した試料においても,X線回折の結果では明瞭な変化を得ることはなかった.TEM観察の結果,粉末の粒子径は約50nmであることを確認し,粉末内部に(100)双晶が存在することを,電子回折および高分解能電子顕微鏡(HRTEM)観察により明らかにした.これまでに報告されている単斜晶ジルコニアに存在する(100)双晶以外の双晶系は,ジルコニア粉末において現在のところ確認されていない.この単一の双晶系のみの存在に関しては,粒子径すなわち結晶粒径が約50nmと非常に微細であること,かつ粉末という非拘束系の状態であることに起因すると現在考えている.
|