2008 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答型高分子の可逆的構造変化を利用したタンパク質の高度分離・回収法の構築
Project/Area Number |
20760512
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森貞 真太郎 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (60401569)
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Keywords | 吸着 / タンパク質 / 刺激応答型高分子 |
Research Abstract |
本研究では, タンパク質を分離対象物質のモデルとし, 温度によりポリマー鎖の構造が可逆的に変化する性質(いわゆる感温性)を有するモノマーと, タンパク質を吸着するための相互作用を担うモノマーからなるコポリマーを利用した感温性高分子吸着剤を創製し, 温度スイング操作によるタンパク質の高度分離・回収と吸着剤自体の再生を可能とするようなプロセスの構築を目的としている. モデルタンパク質としては, 変性温度が62-65℃であり, 等電点をpH4.8付近に有する牛血清アルブミン(BSA)を用いることとした. そこで, BSAの変性温度よりも低い33℃付近に相転移温度を有するN-isopropylacrylamide(NIPA)と, 正電荷を有するvinylbenzyl trimethylammonium chloride(VBTA)からなるコポリマーゲル, およびコポリマーをシリカ粒子表面にグラフトしたコポリマーグラフトシリカを作製した. 得られたコポリマーゲルの膨潤度測定より, VBTAを含んでいても相転移以上においてゲルが収縮することを確認した. また, ゲルの架橋度変化させたところ, 架橋度が高いほど膨潤度は低くなった. これより, ゲルの架橋度によってタンパク質の吸脱着挙動に違いが生じることが予想される. 一方, コポリマーグラフトシリカのゼータ電位測定から, ポリマーをグラフトしていないシリカ粒子が負に帯電しているのに対し, コポリマーグラフトシリカはVBTAが表面に存在することにより正に帯電していることがわかった. しかし, コポリマーグラフトシリカのゼータ電位は25-40℃において明確な温度依存性は示さなかった.このようなコポリマーゲルおよびコポリマーグラフトシリカを用いて, 小規模なBSA吸脱着実験を行ったところ, いずれも25℃でBSAを吸着し, 40℃に昇温することでその一部を脱着することができた.
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