2008 Fiscal Year Annual Research Report
コロイド系の移流誘起自己組織化による多様な粒子膜形態発生とその包括的モデル化
Project/Area Number |
20760514
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 哲 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (80402957)
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Keywords | 移流集積法 / 自己組織化 / 粒子膜 / ストライプ構造 / ガスケット構造 / メニスカス |
Research Abstract |
本研究では, 移流集積過程を利用したストライプ状やネットワーク状といった多様なパターン状粒子膜構造の形成に着目している。移流集積法は有力な粒子膜形成手法で, 蒸発が誘起する溶媒の流れによって粒子をメニスカス先端に移流させ, 先端部の蒸発に伴って最密に充填した粒子膜を形成することができる。本研究の目的は, i)実験条件と粒子集積構造との相関を詳細に検討し, 非平衡相図を完成させること, ii)その相図を操作条件から予測可能なモデル式を構築することである。本年度は実験的検討を主体に行い, 得られた結果を以下に示す。 1)粒子集積構造と操作因子の関係 温度が制御されたインキュベータ内に懸濁液を入れたビーカーを設置し親水性基板(シリコンウェファー, ガラス)を垂直に浸し粒子膜の形成実験を行った。その結果, 塩濃度が低いときにはストライプ状の粒子膜がに成するが, 塩濃度が高くなるとガスケット状の粒子膜が得られた。そして, ガスケット構造が形成する条件として, 1)NaイオンもしくはLiイオンの存在2)マイカ基板の使用が不可欠であることを見出した。マイカ基板が有するイオン交換能により, 表面近傍でのイオン濃度が増加し, イオンがもたらす潤滑効果によってガスケット構造が形成されるものと考えられる。 2)パターン状粒子膜形成過程の直接観察 直方体の透明なガラスセルを用い, その壁面にガラス基板をクリップで固定した。ガラス基板上に粒子膜が形成される過程を, CCDカメラで観察した。その結果, ストライプ構造形成時には, メニスカス先端部は固定され動かないが, ガスケットが形成するときには, 先端部が変にする様子を確認した。すなわち, メニスカス先端部の挙動が形成粒子膜の形状を決定付けるものと考えられる。
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