2009 Fiscal Year Annual Research Report
コロイド系の移流誘起自己組織化による多様な粒子膜形態発生とその包括的モデル化
Project/Area Number |
20760514
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 哲 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (80402957)
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Keywords | 移流集積法 / 自己組織化 / 粒子膜 / ストライプ構造 / 物質収支 / メニスカス / イオン添加 |
Research Abstract |
本研究では,移流集積過程を利用したストライプ状やネットワーク状といった多様なパターン状粒子膜構造の形成に着目している。移流集積法は有力な粒子膜形成手法で,蒸発が誘起する溶媒の流れによって粒子をメニスカス先端に移流させ,先端部の蒸発に伴って最密に充填した粒子膜を形成することができる。本研究の目的は,実験条件と粒子集積構造との相関を詳細に検討し,移流集積過程における非平衡相図を完成させることにある。本年度得られた成果について以下に示す。 (1) 2価イオンが粒子膜に与える影響 塩を加えない条件では,基板には液面と並行な横向きのストライプ状の堆積膜が形成する粒子濃度条件で,塩としてMgCl_2, CaCl_2, BaCl_2を加えて実験を行った。イオン濃度が5×10^<-7>Mでは,塩を加えない場合と同様に横のストライプ構造が形成したが,5×10^<-6>Mでは縦向きのストライプ構造が形成した。この現象はイオン種,基板の種類によらずに観察されたことから,特定のイオン濃度領域で発現する普遍的なものであると考えられる。この縦ストライプの形成には,メニスカス先端部でのイオン濃度差が誘起するマランゴニ対流が寄与しているものと考えられる。 2) 理論的検討:物質収支をベースにしたストライプ形成の動的過程の計算 横ストライプが形成する過程のモデル化を試みた。メニスカスの形状が時間とともに湾曲していく過程を数式で表現し,メニスカスと基板との距離に比例して粒子流束が減少するように設定した。計算で得られた,層数と体積分率の関係は実験と良好に一致し,提案モデルの妥当性を確認した。
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