2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ分子集合体を用いた液液抽出による機能性核酸の塩基配列特異的分離法の開発
Project/Area Number |
20760515
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 達生 Kobe University, 工学研究科, 准教授 (30346811)
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Keywords | 溶媒抽出 / 核酸 / 選択性 / 生産 / 非水系 / ミセル |
Research Abstract |
核酸には遺伝情報の保存・伝達だけでなく、アプタマーやRNA干渉等に代表される新たな機能が発見され、医療分野等への応用が進められている。今後、機能性核酸の実用化のためには正確かつ大量処理が可能な技術が必要となってくる。そこで本研究では、液液抽出法による短鎖DNAの塩基配列特異的分離精製技術の開発を目的とした。まず、標的DNAを水相から有機相へと抽出するために逆ミセルを用いた。同時に、選択性を付与するため抽出対象DNAと相補的なDNAの末端に疎水基を結合させたDNA界面活性剤を導入し抽出を行った。そして、標的DNAの効率的な抽出条件を検討した。 様々な検討の結果、DNA界面活性剤を導入することで標的DNAを抽出することに成功した。また、疎水部に導入する脂肪酸の炭素鎖が長いもの程抽出率は高い結果となった。このことから、高い疎水性が逆ミセル抽出に重要であると考えられる。また、飽和脂肪酸ステアリン酸と同じ鎖長である不飽和脂肪酸オレイン酸を比較した場合、オレイン酸を導入した条件下の方がわずかながら抽出率は高いという結果が得られた。 正抽出を行った後、標的DNA(トロンビンアプタマー)のみを回収し、抽出前後のトロンビンとの結合率を算出した。すると、アプタマーが抽出前後で結合率がほぼ同程度であることから抽出過程で活性が失われず、抽出後も活性を保ったままであるという結果が得られた。また同様に、酵素的に合成したRNAの抽出にも成功した。これらの結果より、逆ミセルおよびDNA界面活性剤を用いることで、機能性単鎖核酸の機能を失うことなく効果的に抽出を行えるということを実証した。
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