Research Abstract |
構造化アルコキシドとしてビストリエトキシシリルエタン(BTESE)(tEO)_3-Si-CH_2-CH_2-Si-(OEt)_3を選定し, ポリマー調製条件・焼成条件・気体透過特性の評価を行なった. BTESEを加水分解反応させる際, 酸性下(触媒 : HCl)で反応が進行し, アルカリ下(触媒 : NH_3OH)ではほとんど反応が進行しないことが明らかになった. GPC法により. 酸性下で約10時間加水分解した構造化シリカポリマーの分子量は約1, 000, 000gmol^<-1>であった. 構造化シリカ膜の水素透過特性を評価したところ, 構造化シリカ膜(BTESE)は, TEOSよりした既往のシリカ膜よりも一桁高い水素透過率(〜1×10^<-5>molm^<-2>s^<-1>Pa^<-1>)を示し, H_2/SF_6透過率比は1, 000以上を示したがH_2/N_2透過率比は10程度であった. 一方, シリカ膜(TEOS)はH_2/N_2透過率比が1, 000程度で構造化シリカ膜よりも明らかに小さい細孔径分布を有していることが明らかになった. これらの細孔径分布の明確な違いは, アモルファスシリカネットワークを形成する最小ユニットがSi-C-C-Siになることで, TEOSを用いた場合よりもユースになったためと考えられる. この結果はSi間の有機官能基によりシリカネットワークの大きさを自在に制御できる可能性を示しており, 今後研究を継続的に遂行することで目的分離対象に合わせてネットワークサイズを制御できる可能性を示している. 例えば, 構造化シリカポリマーにビストリエトキシシリルヘキサン(BTESH)(tEO)_3-Si-(CH_2)_6-Si-(OEt)_3を用いた場合, シリカネットワークがよりルースになる可能性がある. 平成21年度は, 構造化シリカポリマー調製条件(Si/H_2O)比, 加水分解温度など), 製膜条件(焼成温度, 焼成雰囲気)を再検討し, さらに水素選択透過性が向上する可能性がある. 珪酸エチル(TEOS)を用いシリカコロイドゾル調製条件の最適化(触媒種, 加水分解温度, 時間)を図ったが, シリカ膜の透過特性に従来のシリカ膜との明確な違いは確認できなかった.
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