Research Abstract |
本研究は,石炭・バイオマスのガス化やコークス製造プロセスで発生するタールと総称される多環芳香族化合物を含む混合ガスの気相熱分解,部分酸化,水蒸気改質反応を高精度に予測できる素反応速度モデルの構築を目的とする.平成21年度は昨年度構築した詳細化学反応速度モデルを用いた反応シミュレーションの予測精度のさらなる向上を主たる目標とした.そこで,石炭バイオマスの熱分解で発生した揮発分の気相熱分解や部分酸化反応実験のデータとシミュレーション結果を比較し,反応機構の妥当性を検証した.2種類の石炭,4種類のバイオマス(セルロース,コーヒー搾り津,スギおが粉,ヤシ殻)の初期熱分解成分を,気相二次反応を極力排除できる粒子落下型固定床反応器を用いて分析し,シミュレーションの入力データとし,2段反応器を用いた気相熱分解,部分酸化,水蒸気改質,CO_2改質実験を灰分式およびプラグ流反応器モデルを用いてシミュレーションした,当初は,実測値との一致は一部生成物,特にフラン,アルデヒドなどの含酸素化合物に対して必ずしも良好ではなかったが,反応機構自動生成ツールを駆使するなどして反応機構を拡充し,最終的には石炭,バイオマス初期熱分解生成物に含まれる主要化合物の気相反応を網羅する543個の化学種と8175個の素反応からなる反応機構を構築した.最終的にはモル分率が10^<-3>オーダー以上の主要な生成物の実験データを±10%以内の精度で予測することに成功し,本研究の目標を達成することができた.
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