2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタンからメタノールを合成する酵素の複合体形成による活性安定化要因の解明
Project/Area Number |
20760527
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮地 輝光 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (40452023)
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Keywords | 酵素反応 / 天然ガス / 触媒・化学プロセス / メタノール合成 |
Research Abstract |
本研究課題では、メタノール脱水素酵素(MDH)による膜結合型メタンモノオキシゲナーゼ(pMMO)活性安定化要因を見出す事を目的とした。この目的を達成するため、平成20年度は過酸化水素(H_2O_2)によるpMMO活性阻害機構の解明を行った。pMMO活性に対するH_2O_2の影響を調べたところ、H_2O_2がpMMO活性を阻害した。添加したH_2O_2を除去するためにH_2O_2分解酵素カタラーゼを添加したところ、H_2O_2によって阻害されたpMMO活性が回復した。これらのpMMO活性測定結果から、H_2O_2によってpMMOは可逆的に阻害されることがわかった。H_2O_2によるpMMO活性阻害機構を調べるため、H_2O_2添加によるpMMOに結合する銅イオン(Cu_<pMMO>)の電子スピン共鳴(ESR)スペクトルの変化を測定した。H_2O_2添加によって、Cu_<pMMO>のESRスペクトルに変化は見られなかった。このことから、Cu_<pMMO>の配位環境はH_2O_2が存在しても大きく変化しないことがわかった。Cu_<pMMO>の酸化還元挙動を観測するため、pMMOの電子供与体ジュロキノールを添加してESR測定を行った。その結果、H_2O_2共存下ではCu_<pMMO>の還元が観測されなかった。カタラーゼによってH_2O_2を除去することで、ジュロキノールによるCu_<pMMO>の還元が観測された。これらのCu_<pMMO>の酸化還元挙動観測の結果から、H_2O_2によるpMMO活性阻害はジュロキノールからpMMOへの電子伝達阻害が原因であることがわかった。
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