2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタンからメタノールを合成する酵素の複合体形成による 活性安定化要因の解明
Project/Area Number |
20760527
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮地 輝光 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (40452023)
|
Keywords | 酵素反応 / 天然ガス / 触媒・化学プロセス / メタノール合成 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、メタノール脱水素酵素(MDH)が膜結合型メタンモノオキシゲナーゼ(pMMO)の活性を安定化する要因を見出すことである。本年度は、過酸化水素によるpMMO活性の阻害に及ぼすMDHの影響を明らかにすることを目的とした。メタン酸化細菌からカラムクロマトグラフを用いてpMMO、MDHおよびMDH-pMMO複合体を精製した。これら酵素を用いてpMMOによるメタンからメタノールへの変換反応を行った。MDH-pMMO複合体の場合、pMMO単独に比べ高い活性安定性を示した。そこでpMMOとMDHとが共存する条件で反応を行った。その結果、MDH-pMMO複合体の場合とは異なり、pMMO活性は短時間で低下した。ただし、MDHとpMMOとの相互作用による複合体形成は、化学架橋法やゲルろ過法により確認できた。一方、pMMOによるメタンからメタノールへの変換反応における過酸化水素生成量を測定した。MDH-pMMO複合体、pMMO単独、MDHとpMMOの共存条件、いずれの場合の過酸化水素生成量もほぼ同程度であった。すなわち、MDH-pMMO複合体が示す高い活性安定性は、過酸化水素生成を抑制するためではない。一方、過酸化水素は、pMMOの活性中心においてではなく、反応溶液中に存在する銅イオンと還元剤ジュロキノールおよび酸素との反応により生成することを明らかにした。過酸化水素はpMMOの活性中心銅イオンを酸化することでpMMO活性を阻害する。したがって、MDH-pMMO複合体によるpMMO活性安定化は、pMMOがMDHと複合体を形成することでpMMO活性中心へ過酸化水素が接近できないことが要因である。
|