2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化剤を必要としない超高効率次世代型アルコール酸化触媒の開発
Project/Area Number |
20760531
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
満留 敬人 Osaka University, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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Keywords | 触媒 / 酸化 / アルコール / 固体 |
Research Abstract |
アルコールの酸化反応は、医薬・香料中間体として有用なアルデヒド及びケトンなどのカルボニル化合物を合成する工業にも重要な反応である。しかし、従来のアルコール酸化反応の多くは、反応に必要な酸素の供給源としてクロム酸やマンガン酸塩などの重金属を使っており、反応後に出る大量の廃棄物の管理や処理が大きな環境問題になっていた。 本課題研究では、塩基性層状粘土鉱物の一種であるハイドロタルサイト(HT)に銀を固定化したこの環境調和型触媒(Ag/HT)が、種々のアルコールを効率よく酸化し、従来の反応系よりも極めて高い活性を示すことを見出した。[1]さらに、実用的製造法の開発を目指し、触媒改良を図った結果、銀に比べより安価かつ汎用性の高い銅ナノ粒子がこのアルコール酸化に高活性を示すことを見出した。[2] 銅ナノ粒子固定化ハイドロタルサイトを用い、従来法では酸化が困難であったアルコールからの選択的カルボニル化合物製造法の開発を検討した結果、銅ナノ粒子固定化ハイドロタルサイトを用いるとシクロヘキサノール酸化がスムーズに進行し、生成物のナイロン原料シクロヘキサノンを収率99%で得ることができることを見出した。本法は、従来の有害な酸化剤を用いた量論アルコール酸化法を一新する、環境に負荷をかけないグリーンかつ高効率なカルボニル化合物合成法であることが実証された。 [1] Angew. Chem. Int Ed. 2008, 47, 138 [2] Chem. Commun.2008, 4804.
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Research Products
(8 results)