2009 Fiscal Year Annual Research Report
合成的アプローチによる適合溶質の機能解明とその生物学的応用
Project/Area Number |
20760544
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
甲元 一也 Konan University, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (60388759)
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Keywords | 酵素活性 / α-グルコシダーゼ / ベタイン / 適合溶質 / 活性向上 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に合成したカルボキシベタイン、スルポベタインライブラリーを利用してα-グルコシダーゼの活性評価(主にメカニズム解析)を行った。昨年度、カルボキシベタインの添加に伴ってα-グルコシダーゼの加水分解速度が向上することが明らかとなっていたが、その効果は、ベタイン分子の化学構造によって異なる挙動を示した。また、濃度依存性測定の結果、数十mMの濃度範囲で最も活性化効果が高いことが明らかとなった。速度論パラメータ解析からK_mの低下(酵素-基質結合性の向上)とV_<max>の上昇(触媒機能の向上)の双方が組み合わさって活性化されていることが示された。また、基質選択性を調べたところ、反応速度の向上はターゲットとなる基質でのみ向上し、類似基質と酵素の結合性は低下していた。詳しいメカニズムを明らかとすることはできなかったが、水を介した間接的な効果であることが示唆されている。また、アニオン構造の異なるスルポベタインを用いても酵素活性には差異が確認されなかった。つまり、本加水分解酵素に対しては、対イオン構造とベタインの疎水性などの構造にのみが活性に影響を及ぼし、アニオンの化学構造の違いは反映しないことが示された。これら一連の研究成果は添加物による酵素活性化技術として1月に特許申請(優先権出願による新規データの追加)し、その応用性の高さから企業との共同研究をスタートしたところにある。また現在、関連論文を投稿しているところである。一部の成果については、韓国のBrain Koreaプログラムによる招待講演などで公表している。
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Research Products
(8 results)