2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形な大変形を伴う宇宙用柔軟展開構造の定式化と実験的検証
Project/Area Number |
20760548
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
菅原 佳城 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 助教 (10422320)
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Keywords | 人工衛星 / 機械力学・制御 / 航空宇宙工学 / モデル化 |
Research Abstract |
人工衛星等に搭載される非常に柔軟な構造を有するような展開構造物の検証の手法として,大変形を表現できる方法として近年注目されている絶対接点座標法(以下ANCF)によるモデル化を利用した方法の検討を行った.本研究では,地上における検証実験データとANCFでの数値解析結果の両者を活用することで宇宙での挙動を検証する方法の構築を目指しており,基礎検討として弾性変形のみ仮定した柔軟梁の回転運動による動的スティフニングに注目して研究を行った. 地上と宇宙空間での大きな違いは重力と大気の有無であり,地上での検証実験のデータに極めて近い数値解析モデルが構築できれば,そのモデルから重力と大気の影響を差し引いた解析から宇宙での挙動が予測できる.しかし,ANCFに基づくモデルでは実験的な検証に関する研究は不十分であり,また大気の影響等を考慮した研究も少ない.そこで,本研究ではこれらの影響を考慮したモデルの提案と実験的検証を以下のように行った. 1.真空容器内での柔軟梁の回転による動的スティフニングに着目し,大気の影響を取り除いた状況での解析モデルの構築と実験検証を行い,定性的かつ定量的に良い一致を示すモデルを構築した. 2.空気抵抗を考慮したモデル構築を行い,大気中で柔軟梁の回転による動的スティフニングの実験結果との比較を行い,定量的かつ定性的に良い一致が見られた. これらの結果より,簡単な梁などの展開挙動については地上での検証実験から宇宙での挙動も予測できるものと考えられる. 当初の予定で検証方法自体の検証のために落下塔による比較も検討していたが,装置の工夫により無重力環境での実験との比較がなくとも,十分な検証を達成することができ,今後も同様な進め方でせん断変形,塑性変形,粘弾性による影響等の各種要素を考慮した,より実際のものに近いモデルを用いた検証方法の構築へと発展させることできると期待される.
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