Research Abstract |
本研究は, 次世代の宇宙輸送機の信頼性を向上させ, ミッション成功率を高めるための誘導制御系を設計することが目的である. 本年度は, 研究課題の中で「自律的な飛行経路生成技術」の課題に主に取り組み, 飛行中に新たな軌道を生成させることのできるシステムの検討を行ってきた. オンラインで軌道生成を可能にするシステムは, 近年注目を集めている「厳密な線形化法」を用いて, 最適制御問題を定式化する方法で, 申請者が独自に開発してきた. このシステムを基盤として, (1)飛行不可能な領域の回避, (2)機体に課せられる拘束条件の考慮, を可能にするシステムへの拡張を検討した. (1)に関して, この問題は, 自動車の制御分野で特に研究が進められている. 文献調査による事前検討の結果から, この課題に関して応用可能な手法としては, 前方障害物警報システム, 近距離障害物警報システムが挙げられる. 前者は, 障害物認識センサを用いて前方障害物との距離と相対速度を検出し, 危険判断情報処理システムによって衝突するか否かの判断を行うシステムであり, 後者は前者に較べて低速で車両が移動している際に近距離の障害物を検知するシステムであり, 障害物の検出角度が大きくなる. 前者のシステムを応用して飛行禁止領域やミッションの妨げとなる雷雲等の回避, 後者を用いて低速での飛行となる着陸フェーズでの予期できぬ障害の回避の検討を今後行う. また(2)に関して, 厳密な線形化法を適用する際に, 本来制御するべき物理量から, 近似のない線形化を行うために非線形変換が必要である. そのため, 機体に課せられる拘束条件で, 1対1で対応させられる拘束条件を表す関数を決定できるか否かが, 鍵となる. この問題に関しては, 得られた軌道に対する追従制御システムによって, 拘束条件の影響を考慮する手法も検討しており, 拘束条件付適応バックステッピング法によって, この課題の解決を目指している.
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