2009 Fiscal Year Annual Research Report
B/KNO3火薬のレーザー着火・燃焼比例則の確立とレーザー着火スラスタへの応用
Project/Area Number |
20760550
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
中野 正勝 Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology, ものづくり工学科, 准教授 (90315169)
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Keywords | 航空宇宙工学 / マイクロスラスタ / レーザー着火 / ボロン硝石 |
Research Abstract |
B/KNO3火薬のレーザー着火・燃焼比例則の確立を目標としたデータ取得を昨年度に引き続いて行った。昨年度の結果から、B/KNO3火薬の燃焼速度は、大気圧から10kPaまでは、ほぼ圧力に対して単調に減少するのに対して、1kPa付近ではほぼ変化しなくなることが確認された。レーザー着火スラスタの立ち上がり時の燃焼室圧力は、B/KNO3の表面のアブレーションによる噴射ガスにより1kPa弱であると見込まれるため、1kPa近辺の圧力における燃焼速度測定を取得することは、レーザー着火性能の把握にとって重要である。そこで、真空度を一桁高く測定することが可能なバラトロン真空計を設置し、燃焼速度の計測を行った。ターゲットとなるスラスタの大きさが決定していることから、昨年度に引き続いて、直径3.2mm、長さ2.0mmのボロン硝石(B/KNO3)の円筒形ペレットを用いて測定した。測定は寸法800mm角の真空容器内で行い、真空容器をArガスで99.99%以上置換することでB/KNO3と空気の反応を防いだ。燃焼速度は撮影・コマ数200fpsの高速度カメラを用いて着火から燃焼終了までの時間を取得画像から算出した。その結果、1kPa以下ではB/KNO3の燃焼速度はほぼ一定となることが確認された。また、高速度カメラの画像から、B/KNO3表面が剥がれ落ちるような、圧力に依存しにくい燃焼形態であることも確認された。 レーザー着火スラスタでは、レーザー照射からインパルスを発生までに数百ms程度時間がかかっていたが、取得したデータとレーザー着火モデルからこの現象を解明した。すなわち、レーザー着火は焦点から開始されるために反応面積が小さく、発生する燃焼ガスも少なく燃焼室の圧力は上昇しにくい。その後燃焼により燃焼面が半球状に広がるにつれて燃焼ガスの量も増え燃焼室圧力が増大する。その結果、燃焼速度も増大し圧力は急激に増加し、有意なインパルスを発生する。今回の実験データと解析モデルにより、レーザー着火時の現象が矛盾なく解明でき、設計への指針を得ることができた。
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