2008 Fiscal Year Annual Research Report
層状複水酸化物を用いる高度陰イオン除去プロセスの開発
Project/Area Number |
20760573
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村山 憲弘 Kansai University, 環境都市工学部, 専任講師 (90340653)
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Keywords | 有害重金属 / 層状複水酸化物 / ハイドロタルサイト様化合物 / 陰イオン交換体 / 排水処理 / リサイクル / 廃棄物処理 / 再資源化 |
Research Abstract |
アルミ再生工程で生じるアルミドロスや塩化マグネシウム含有廃液を原料に用いて調製したハイドロタルサイト様化合物(以下、HTと略記)の有害陰イオン種の除去特性を調べるとともに、重金属除去プロセス構築にまで展開することが研究の目的である。平成20年度は、層間陰イオンの異なるHTを用いた有害陰イオン種(As、Cr、Se、Moのような重金属オキソ酸陰イオン、B、Pのようなオキソ酸陰イオンなど)の吸着特性を把握すること、加熱処理による吸着除去後の有害陰イオン種の固定化を試みること、の二点について検討を行った。研究成果の概要は以下に示すとおりである。 平成20年度前半では、いくつかの層間陰イオンの異なるHTを調製し、上述の有害陰イオン種に対する吸着等温線について検討を行った。特に、排水基準値近傍である数ppmレベルの希薄な濃度の領域で詳細な吸着データを採取した。多くの重金属陰イオン種について、HTは排水基準値以下にまでこれらを除去できるポテンシャルを有していることを明らかにし、HTを高度排水処理プロセスに適用できる可能性があることが示唆された。これらの陰イオン種の吸着特性は、除去対象である陰イオン種の溶存状態が重要であるとともに、吸着剤であるHTの種類、すなわち除去操作前にHTに含まれる層間陰イオン種が重金属の除去に対して大きな影響を及ぼすことを明らかにした。後半では、HTに取り込まれた有害陰イオン種が再溶出しないように固定化する方法について検討を行った。Asのように加熱処理時に重金属が揮発して固定化できない例も見られたが、CrやBなどを吸着除去したあとのHTに対しては、有害陰イオン種の再溶出を抑制する効果が認められた。これはHTが熱分解することによって生じる金属酸化物内に有害陰イオン種が固溶した化合物が生成することに起因すると考えられる。
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